永遠に、色あせることのない『青』でいられなかったけれど
拝啓、はじめの世界。ようやく辿り着いた世界は、前までの自分だったら辿り着くのを躊躇うほどの、綺麗な世界。
これまで何度も何度も、壊れるのを見てきた。独り残され何度も、何度も。
2000年ものの長年を越え『創られた』時から、ずっとずっと儚く綺麗なものが壊れていくのを。
そこからまた2500年の時を越えた。何回も、何回も、同じ瞬間をこの目に焼き付けた。
ずっとずっと護り続けたもの。護りたかったもの。例えどんな犠牲が出ようとも、護りたかったもの。
だから、もう壊れることも躊躇わない。
今、自分がどんな顔をしているかわからない。ただ、夜の静かな海の中で佇んでいた。
決して綺麗ではない、海。そこで自分は、『ふたつの青』は生まれた。
そんな青を見つめる5人の人間と1匹の神。そこには、自分とよく似ている『青』もいる。
全てを包む宇宙、深い海、新緑の森林、月の下で輝く紫水晶、太陽の光が宿る橄欖石、日が昇る東雲。
どれも綺麗なもので、もう壊れることのないもの。何度も何度も壊れていたけれど、もう大丈夫。
それらを目に焼き付けると、自分を止める声も聞かずに海をざばざばと渡り歩く。
ここで、ふたつの青は創られた。1匹の神の手によって。多くの犠牲によって。
だけどそれももう終わり。これからは――。
終わりを告げるかのように、目の前が明るくなり、眠りにつくかのように視界がぼやけ見えなくなる。
ようやく、ようやく長年の時を得て、眩しいほどの綺麗な朝が来るから、もう大丈夫。
「ああ、ようやく辿り着いた。あの人が死なない世界」
さようなら、おやすみなさい。今までの世界。これからも会うことはないね。
宵が過ぎ去った世界はこんなにも温かく綺麗なものなんて、宵は知る事はないけれど。
新緑の森林、月の下で輝く紫水晶、太陽の光が宿る橄欖石、日が昇る東雲。
みんなもう壊れることなく、次々と夢から覚めることである世界なんて。
そんな世界を知る事なんてなく、宵は変わりゆく海へと消えていく。深い海もまた、消えていく。
ふたつの景色が過ぎ去った世界は、ふたつの景色が知らないうちに色鮮やかな綺麗な世界へと。
「おやすみなさい、永遠に」
そうして、創られた宵は色鮮やかな綺麗な海に、泡となって消えていく。
また、深い海も同様に泡となり儚げに消え、ふたつの景色は人々の記憶にも、消えていった。
敬具、終わりに辿り着いた色鮮やかな綺麗な世界。
永遠に、色あせることのない『青』でいられなかったけれど ???・?????